更新日:9月22日

【講演:株式会社チュウオー 代表取締役社長 今里秀俊】
▼ 目 次
お灸の温度と熱量の違い|モクサス測定から見える「熱刺激」とは?
お灸の刺激を考えるとき、私たちは「何℃まで上がったか」という最高温度に目を向けがちです。
しかし、同じ温度のお灸でも、
・どれくらいの速さで温度が上がったか ― グラフのカーブ
・その温度がどれくらい続いたか ― 持続時間
・身体へどれくらいの熱量が入ったか ― 熱刺激量
によって、感じる熱さも刺激の内容も変わります。
「熱くない」から安全とは限らない
急に温度が上がると、「チクッ」とした熱さを感じやすくなります。
一方、ゆっくり伝わる熱には身体が慣れやすく、温度が上がっても熱さを感じにくいことがあります。
ここで、低温やけどの事例を見てみましょう。
NITE(製品評価技術基盤機構)は2025年、電気あんか、カイロ、電気マットなどの「温活グッズ」による低温やけど事故について注意を呼びかけました。
紹介されているのは、電気あんかを身体に挟んだまま就寝した事例や、カイロを足に当てたまま眠り、重症の低温やけどを負った事例です。
NITEによると、低温やけどは、温かいと感じる程度の温度でも、同じ場所に長時間触れ続けることで起こります。
熱源に触れた場所が圧迫されている場合は、さらに短い時間で起こる可能性があります。
また、血流や皮膚感覚には個人差があり、高齢者、幼児、身体の不自由な方、糖尿病の方などは特に注意が必要です。
参考:NITE「温活グッズの事故」
このように、
「熱くないから安全」とも、「熱いからよく効く」とも限りません。
感じる熱さだけで判断せず、温度の上がり方、接触時間、熱量、刺激する場所、そして患者さんの状態まで考えることが大切です。
自分のお灸は、どれくらいの仕事をしている?
お灸の温度と皮膚吸収熱量を測定できる「モクサス」では、温度の変化をグラフにし、有効な熱量をジュール(J)で数値化できます。
ジュールとは、お灸が身体に対して「どれくらいの仕事をしたか」を表す一つの指標です。
同じように作ったつもりの艾炷(がいしゅ)でも、
艾の量、艾炷の硬さ、ひねり方、底面積、燃焼時間などによって、温度曲線と熱量は変わります。
台座灸も、「ソフト」「マイルド」「ハード」という表示だけでは、実際の温度や熱量までは分かりません。
同じ台座灸でも、各社商品によって温度の上がり方や持続時間が異なります。
では、目の前の患者さんに必要なのは、
高い温度でしょうか、長く続く温かさでしょうか、それとも、短時間で入る鋭い刺激でしょうか。
透熱灸、台座灸、箱灸、棒灸などを治療に取り入れるには、商品のイメージや施術者の感覚だけでなく、それぞれの「刺激の違い」を知って選ぶことが大切です。
お灸を使えない場所にも、熱刺激を届けたい
チュウオーが電子温灸器を開発した背景には、煙、におい、火気の問題から、お灸を使いたくても使えない医療機関や施設の存在がありました。
火を使わず、煙やにおいを出さず、施術者が変わっても一定の温度と熱量を再現しやすくする。
それは、もぐさのお灸に置き換わるものを作るためではありません。
お灸を行えない環境にも、治療としての「熱刺激」を届けるためでした。
「熱いほど効く」とも、「温かければ十分」とも限りません。
温度と熱量の違いが分かると、透熱灸、台座灸、電子温灸器の見え方も変わってきます。
灸活アーカイブでは、温度曲線の読み方、有効熱量、身体が熱を感じる仕組み、モクサスによる測定、電子温灸器が開発された背景について、動画でさらに詳しく解説しています。
いつものお灸が、患者さんの身体にどのような熱刺激を届けているのか。
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